「かいよう」観測航海

 2014/06/19-07/01 かいよう 観測航海@北西太平洋


新学術領域研究「気候系のhotspot」に関連して行われる観測航海に参加させていただいた。

観測航海 KY14-09の詳細は以下.

・ 船舶:海洋調査船「かいよう」(海洋研究開発機構)

・ ターゲット海域:黒潮続流域

・ 航路:横須賀~S1(~30N, 145E)~S2(~145E, 28N)~KEO(~1445.E, 32.4N; ブイ交換)~JKEO(~38N, 146.5E)~(天候悪化のため退避)~横須賀

・ 装置など

Radioactive water sampling

Plankton net

Glider

radiosonde

あとXBTとかXCDTとかセジメントトラップとか。


横須賀を早朝に出港するため前日の夜に近くのホテルに泊まる。酔い止めや酔った時のためのゼリー、つまみ、安全靴などを持参(一部事前に郵送したかも)して横須賀の岸壁へ。

しばらくは穏やかだったが外洋に出るとかなり揺れる。特に黒潮に差し掛かると揺れが酷くなる。アネロンを飲んでいたがそんなものはとても効かない。夜に船室では飲み会が行われたが飲む気にもなれず早めに横になる。2日目午後くらいからはかなり酔いがマシになった記憶があるが、慣れたのか揺れが収まったからなのかは不明。

船には娯楽室があり、沢山のマンガや本、ビデオデッキなどが置かれていた。移動しかすることの無い日もあるので、娯楽室が必要なのはよく分かった。我々の船室は2段ベッド×2というような構成で、小さな机とテレビ(船内でDVD?が再生されている)があった。船には風呂もあり、揺れの大きなタイミングでは浴槽のお湯が振動するのが面白かった。上のデッキでは天気図や海況図を用いて航路の検討が行われており、訪ねるとその名残?を見ることができて面白かった。


私は自分の測器を持ち込んでいる訳ではなかったので、決められたシフトに従ってゾンデやXBTなどの装置を放球・投入するのが仕事だった。甲板に出るときは浮きを装着し柵に近付く時は安全装置を使用するが、夜間は特に危ない(落ちると発見出来ない)ので注意しながらの作業。

ゾンデの放球はこんな感じ。ヘリウムを詰めたバルーンに計器を結び付け、バルーン⇒計器とタイミング良く離すとうまく上がっていく。タイミングが早すぎたり風が強すぎたりすると計器が着水してしまい失敗となる。

ゾンデにヘリウムを詰めて放球に向かうところ.楽しそうである

ゾンデのデータを解析するためのスペースにて

ラジオゾンデの放球

ゾンデやXBTなどからリアルタイムで観測データが送られてくるのを見るのは新鮮で楽しかった。データはまだ手元にあるので機会があればまた見てみよう。


一緒に乗船した研究員・学生の方々と.




KEOで交換したブイ.ブイには大量の貝が付いていて、これを取り除くのがなかなかに大変な作業だった。
おそらくエボシガイ


航海中の食事は量が多い.装置の引き上げ・投入など,重労働でたくさんのエネルギーを消費するからである.

船員の方が釣って下さったイカの刺身


航海中にはイルカやクジラなどにも遭遇したし、黒潮属流を北へ横切る際の潮目、雲の出方の変化、また海洋中規模渦に伴って船の進行速度がかなり影響を受けるなど、たくさんの中緯度海洋の持つ側面に出会えた。

私自身、自らが直接観測データを用いて研究をしている訳ではないのだが、

  • 大気と海洋の観測がどのように行われ、観測手法・装置がどのような性質を有しているのか
  • データにどのような制約があるか
  • 解消されることが望まれている技術的困難は何か

などを現場で感じ、見聞きして掴むことができたのは貴重だった。貴重だったと言うのは単に「個人的に良かった」というだけではなくて、例えばその後海洋観測側の研究者と話す際に、どういう意図の話なのかを最低限理解できる、など間違いなく役に立っている(例えば10年後のこれ)。

観測航海でお世話になった方々、どうもありがとうございました。


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