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論文紹介 (Fonseca et al. 2023 Geosci. Comm.)

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A physical concept in the press: the case of the jet stream Fonseca, X., Miguez-Macho, G., Cortes-Vazquez, J. A., & Vaamonde, A. (2022). A physical concept in the press: the case of the jet stream.  Geoscience Communication ,  5 (3), 177-188. Geoscience CommunicationはEGUの科学コミュニケーションに関する雑誌である。 この論文では、メディアにおいて気候科学コミュニケーションにおいて重要な物理的概念をどう伝えるか?というトピックについて,スペインのメディアにおいて ジェット気流を扱った例を挙げて論じている. この方法論はあくまで一例なので,ジェット気流という概念をユニバーサルにうまく説明できる方法がこの論文中に書かれているという訳ではない. 本論文を読んで勉強になったと感じたのは特に前半で,気候科学とリテラシー,メディアの役割に関する議論がカバーされている(新規の視点という訳ではないけれども).環境および気候リテラシーは政策やイノベーションの原動力であるけれども,伝統的な教育分野に比べ,メディアを通じた"インフォーマルな教育" の在り方はあまり検討されてこなかった,との指摘がある.近年は気候変化・変動に関して用いられる語が変化しているきらいがあるが(climate crisisとか tipping pointとか),それらが一般市民の意識を高めるためのレトリックである一方で,気候リテラシーの向上に直結しているわ けではない,という指摘はその通りだと感じる.

AGU24

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 2024/12/8-12/15 @Washington DC(アメリカ) アメリカ地球惑星科学連合(AGU)の年次大会、AGU24に参加(12/9-12/13)。 2022年以来 . 今回は口頭・ポスター発表が1件ずつにセッションコンビーナ(A079 "Explaining and Predicting Mid-latitude Weather, Climate and Ocean Variability and Change Through Air-Sea Interactions and Teleconnections")があったが,全て初日という素敵な日程. 2年前に参加した際にもそうだったのだが,AGUのような大きな学会に来ると,国際的な流れに対する己の感覚のずれを思い知らされる(結果として焦りを覚える). 私の研究に関連した大きな流れとしては,やはりML/DLの研究・セッションが非常に多くなっているということと,extreme eventsの研究のウェイトが高まっているな,というのが第一の感想だった. 2万人くらい参加する巨大な学会である. この「学会での心構え」のようなものがなかなか面白かった. 少し時間のあったタイミングでワシントンDCを散策.天気の悪い中で歩き回ると風呂が恋しくなる. セッションコンビーナの仕事としては,提案・宣伝・招待講演者の選定・口頭orポスターの決定・プログラム作成など色々あるが,限られたスロットの口頭発表を選ぶのが大変だなと感じた.何かを選ぶ際にジェンダーや世代・地域などのバランスを考えることが望ましいが,今回はHotspot2 international workshop "Mid-latitude Ocean-Atmosphere Interactions: Their Processes and Predictability"でのSOCとしての経験が活かされた. アメリカは遠く年末で大変だが,AGUにはやはり参加するべきだと今回も感じた.

筑波大学に異動しました

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 2024年12月より,筑波大学 生命環境系に異動しました.