コラム紹介 (Savage and Yeh 2019 Nature)
Novelist Cormac McCarthy’s tips on how to write a great science paper
研究論文ではなく,Nature誌の"Career Column"のコラム.
論文の書き方に関するTipsが記されている.
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本稿では,20年間にわたってサンタフェ研究所の科学者たちの論文執筆を指導し,理論物理学者リサ・ランドールや物理学者ジェフリー・ウェストなど,著名な研究者たちもその恩恵を受けてきた,『ザ・ロード』『ノー・カントリー』で知られるピューリッツァー賞作家コーマック・マッカーシーが,科学論文執筆術についてアドバイスしてくれるというものである.
最も重要な原則は「シンプルに保ち,一貫性のある魅力的なストーリーを語る」こと.
**文章構成の要点**
**文体と表現**
複雑な構文や接続詞(「しかし」「したがって」)を最小限に抑える
読者の流れを阻害しない.
脚注は思考の流れを断つため避ける.専門用語の乱用も禁物
形容詞は必要な場合のみ使用.同じ内容を3通りで表現することは不要
**実践的テクニック**
完璧な文法よりも,読者に理解されることが重要
文章を声に出して読み,自然な休止点を見つける
抽象的な「任意の色の球体」より「赤い風船」「青いビリヤードボール」が効果的
**執筆プロセス**
査読者のコメントには、キプリングの言葉を念頭に置く.
「全ての人が疑っても自分を信じよ.しかし,彼らの疑いにも配慮せよ」
**本質的なメッセージ**
マッカーシーの指導は,科学論文も優れた物語と同様、読者を引きつける力を持つべきだという信念に基づいている.技術的正確性と読みやすさの両立こそが,真に価値ある学術的コミュニケーションを生み出すのである.
文章を生き生きとし,理解しやすくすることで,人々は時間を投資してその研究を読みたくなる.これこそが,若手研究者から世界的作家まで,すべての書き手が望むことではないだろうか.
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もちろん,本稿の内容は英語を母国語とする人向けの内容であると考えられるので,例えば日本人が全てを鵜呑みにすべきではないと思う.「文法を気にするな」を本当に言葉通り受け取って,標準レベルの英文法の知識が曖昧な人がいいかげんな文を書いて意味が伝わりませんでした,では話にならない.
しかし,論文を書くという行為の究極的な目的・目標はどこにあるのか?ということを考える際の良い指針になることは間違いない.(そして,その目的・目標が時代と共に変わっている,ということがまた重要なのであろう)
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